
拝啓 新緑の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度、第15回日本プライマリ・ケア連合学会東北ブロック支部学術集会を開催できますことを大変光栄に存じます。東北地方の医療を支える多くの医療従事者の皆様とともに、プライマリ・ケアの発展について議論できる場を設けられることを心より嬉しく思います。
本学術集会のテーマは「選ばれるプライマリ・ケア」といたしました。超高齢社会を迎え、医療ニーズが多様化する現代において、患者さんから「選ばれる」存在であり続けることの重要性を考えたいという思いからです。また、このテーマには次世代の医療者にプライマリ・ケアの魅力と重要性を伝え、未来へつないでいくという願いも込められています。
本学会のポスターデザインには、実行委員長の外崎奏汰先生(十和田市立中央病院)の長年にわたるバレーボール経験から着想を得た、ユニークな視点を取り入れました。「プライマリ・ケア医はバレーボールのセッターのような存在である」というコンセプトです。
セッターはコート上のすべてのボールに触れ、次にどのプレイヤーにつなぐかを瞬時に判断します。同様に、プライマリ・ケア医も様々な健康問題を持つ患者さんに最初に接し、適切な診断と対応を行い、必要に応じて専門医へ「つなぐ」役割を担います。時には自らが完結させる「ツーアタック」も必要です。
レシーブのように受け止める力を持ちながらも、華々しいスパイク(専門的治療)ではなく、「つなぐ」「任せる」「判断する」力が求められるセッターの役割は、実はプライマリ・ケアの本質と深く共鳴するものです。スパイカー(臓器別専門医)にどのようにボール(患者)を託すか、その配分・判断は、まさにプライマリ・ケア医に求められる重要な役割といえるでしょう。
この「つなぐ」という役割は、一見地味に見えるかもしれませんが、医療システム全体を機能させるために極めて重要であり、次世代の医療者にもつないでいくという意味も込めています。そして、患者さんから「選ばれる」プライマリ・ケア医になるためには、この繊細で戦略的な役割を果たすための技術と知識が不可欠です。
本学術集会が、東北地方のプライマリ・ケアを担う医療者の皆様にとって、知識を深め、技術を磨く貴重な機会となるとともに、地域社会から信頼され、多くの患者さんに「選ばれる」医療者の育成に貢献できることを心より願っております。私たちが目指すのは、単に医学的知識や技術に優れているだけでなく、患者さんの気持ちに寄り添い、地域のニーズを理解し、医療チーム全体の調和を図ることのできる、真に「選ばれる」プライマリ・ケア医の育成です。
本学術集会での学びと交流が、東北地方のプライマリ・ケアの質の向上につながり、ひいては地域住民の健康と幸福に貢献することを信じております。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。